週刊東洋経済の「崩れる既得権 膨張する利権」特集(11/7日号 )を読んでいたら、こんなことが書いてあった。
『正社員になりたくてもなれない若者を中心に、「正社員こそが既得権」という見方が出ている』
私の周辺で起きている出来事をみても、そのように思う。つまり、元請け企業は自社の正社員の雇用を守るため、外注に支払う料金を減らしたり、外注への発注をストップして内製したり、新卒採用を抑制したり、契約社員や派遣社員、業務委託、パート・アルバイトといった非正規労働者を解雇したりしている。その何割かの原因は、正社員の雇用を維持するためにあるのだとしたら、これは既得権以外の何物でもない。
ようするに、終身雇用、年功序列を前提とした正社員の雇用制度がそのまま残り、時代環境とのアンマッチが生じているわけで、これを改善するには正社員の既得権を抜本的に見直すしかないと思う。
具体的には、ちまたでよくいわれているように、正社員の解雇障壁を低くして雇用を活性化させ(アメリカのように解雇しやすく、採用しやすくする)、年功序列制度を壊して社歴や年齢に関係なく実力に応じてポストと賃金が得られるようにする。
ひるがえって、新聞・出版業界の既得権は何かというと、東洋経済にも出ていたのだが、「再販制度」と「委託販売制」ということになる。この分野にくわしいのがライターの永江朗さんで、本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか にくわしいルポが書かれているので、興味がある方はそちらをどうぞ。
ここでは頭の中を整理するため、自分なりにまとめて書いてみる。
再販制度というのは、出版社の決めた価格でしか販売してはいけないというしばりだ。旬が過ぎた本を安く売れないのは、この制度によるもの。
委託販売制は、本屋が売り残りの本を出版社に返品できる仕組み。本屋は不良在庫を持たないから、リスクはゼロ。その代わり、売れた際のマージンは少ない上、これは他業界の人は驚くと思うのだが、売りたい本を仕入れることができない。
出版流通では、書店と出版社の間に取り次ぎという問屋が介在していて、そこが書店の売る本をダンボール箱につめて送りつけ、書店はその本をおとなしく店頭に並べて販売している。
例えば、小規模または歴史の浅い書店がベストセラーを注文しても問屋に送ってもらえず、仕入れられないという事態が起きている。仮に、書店が品物を買い取る責任販売だとしたら、注文した品が入荷しないなんてことはなくなるだろう。ローリスク・ローリターンに甘んじている状況である。
本屋のマーケティング活動で思い浮かぶのは、店頭POPか。「POPがきっかけでベストセラーに」というニュースをたまに耳にするが、POPでそれだけの効果があるのだから、メルマガの配信とか、本や雑誌の安売りセールとか、テーマごとのフェアとか、本のコンシェルジュを常駐させるとか、他の業界が当たり前にやっている販促活動をやればもっと客が来るんじゃねえの、と思う。
今まではそんな面倒なことをしなくても、品ぞろえまで問屋に決められたスポイルされた状態でも、商売が成り立ってきた。だが、電子ブックが普及するであろう今後を考えると、この2つの既得権を撤廃しなければ、街に大型書店しかない時代がやってくるように思えてならない。
でなければアマゾンに頼むのでは。今なら配送料ゼロだし。メガ以外の書店はヒューマンなサービスと発想で客を引きつけなければいけないのに、再販制と委託販売制がジャマをしている。
仮に、両制度の維持を主張しているのが書店の団体なのだとしたら……まぁ、成り行きにまかせるしか仕方がありませんね。
posted by よしじろう at 11:47
|
TrackBack(0)
|
雑感(日常生活で感じたあれこれ)
|

|